利根川水源の山をめぐる
丹後山 大水上山
なつかしい十字峡に着きました。G.Wのときはまだ雪があり、フキノトウが顔を出していたのですがもう、すっかり初夏の風景。

あの、おそろしい??導水管も生い茂った木々に半分隠され、なにやらやさしげに見えます。

登山センターの食堂で管理人のSさん、釣り師の方たちとまずは歓談、情報収集。
「午後から雷雨かも‥」

なにより雷を嫌うHはそれを聞いて「行かない!今日は絶対行かない!」と即宣言。

雷を気にして登るより、明日早く出発しよう。栃ノ木橋まで散歩して、この日は快適、貸切の登山センターに泊まらせていただきました。
4時半起床。

強い雨、弱い雨、を繰り返していますが、「雨が恐くてこの時期山に入れるか」と強気で5時出発。

時間に余裕があるので気分的にも楽です。

林道入り口で昨日の釣り師の方々とお会いし「行ってきまーす」
登山口で一本入れ、これからの急登に備えます。

この時点ではわたしたちのみなので、ときどきホイッスルを吹きながら「お邪魔してます」熊さんに合図を送ります。
なーるほど。しょっぱなからガシガシ急登ですが道が手入れされていて、歩きやすいので助かります。でも、暑い!
1合目から3合目の距離の長いこと。こんなに登ってまだ3合目?

「あちー、あちー、疲れたあ、スイカ食べたーい、冷えたビール飲みたーい」

いつものように、ぶーたれながら登るわたしたちです。
3合目を過ぎると「時折中ノ岳や兎岳が見え‥」とありますが、なにしろ雨。なにしろガス。

ブナの美しい森だけがなぐさめてくれますが、このときは「美しいブナより風じゃあ」

でも6合目あたりから早回しのように7、8合目の表示が出てきます。
シシ岩を過ぎる頃から傾斜が落ち、ガスの笹原にニッコウキスゲの群落があらわれ、足元にはアカモノ、ゴゼンタチバナ、リンドウの群落がビッシリ。

そして、丹後山避難小屋がぼおっと笹原に浮かんでいました。
休憩していた日帰りの男性が帰って、今日も貸切。トイレもあるし、外に天水のタンクもあるし、しかりしたいい小屋です。

こっちは群馬、こっちは新潟、人くささの感じられない稜線の小屋、すっかりうれしくなって、その夜少しオバカになってしまったようです。
翌日相変わらずガスの中、源流の碑へと出かけます。

丹後山の頂上は小屋のすぐ先にありました。
ほんとはさあ、平ガ岳や中ノ岳や越後駒がズラーリ繋がって見えるんだけど。ま、この稜線を歩けるだけでもいっか。

あくまでも謙虚なわたしたちなのです。
笹の刈払いがまだ行われていないらしく、ワシワシ腰までの笹をかきわけます。
そして水源の碑。利根川の水はここからはるばると旅して流れていくのです。

この天気だもの、ここまで来られてよかったね。手作り笹茶の原料としてご利益のありそうな「水源の笹」をすこし摘ませていただいていると‥なんと突然雲が切れてきたのです。

まず、巻機が、そして、中ノ岳、越後駒、平ガ岳‥ネコブ、桑ノ木‥。
わたしたちは動けませんでした。何だろう、いきなり展望が得られた喜びだけではありませんでした。

標高が高いわけでもないのに、この谷の深さ、毅然とした山容に圧倒されたのです。
至れり尽くせりの山小屋が当たり前になっているなか、この山域は自分の力でどう登る?「真っ向勝負」を問いかけられているような気がしました。
小屋に戻ってパッキングし、気持ちよく下ります。

昨日はひらいていなかったリンドウも今日は青い星を散らしたように咲いていました。

なんだか急いで下る気がしません。振り返り笹の稜線見て、横の谷を見て、また振り返って‥‥。
下りは途中また雨が降ったり止んだりでしたが栃ノ木橋に着くと、さわやかな風がありました。

たった一日なのに林道がとてもなつかしいものに思えました。
「ただいまー、帰りました」登山センターのSさんが出迎えてくれ、下山の喜びが一気に盛り上がります。

「上で晴れたの」
「もう、すごくよかった」
「カモシカと目があったの」

遠足から帰った子供のようです。

おいしい山菜とビールに、山の話がつきません。奥利根の山々、十字峡、また好きな場所ができました。